Story 03 | LIVING
暮らしに合わせて、風景をつくる
形の大枠ができたあと、SCAPEは実際の暮らしの中に置きながら、少しずつ調整していきました。
たとえば、三つのムートンの大きさです。
眼鏡を置いても窮屈にならないか。
リングのような小さなものを置いたときに、大きすぎて見えないか。
香水瓶を置いても、隣のものとのあいだに余白が残るか。
実際にものを置いてみると、数センチの違いでも使い方や見え方が大きく変わります。
今回のトレイに使うムートンは毛の長さだけで2cmほどあり、実際にカットする革部分と毛の分を計算しながら試行錯誤しました。
丸すぎると少し閉じた印象になり、直線に近づくと硬く見えてしまいます。
手に取ったときに自然に収まりながら、置いたもののまわりには少しゆとりが残るような曲線と角度を探しました。
ベーストレイの大きさも同じです。
ベッドサイドなら眼鏡・リング・スキンケア、玄関なら鍵やフレグランス。
棚の上ならオブジェやフィギュアなど個人差が広がります。
なるべく多くのものを受け止められる広さがほしい一方で、大きすぎれば置ける場所そのものが限られてしまいます。
家具の上に実際に置きながら、置けるものの量と置ける場所の多さの両方が残るサイズを探しました。
縦と横の比率についても、ただ使いやすいだけではなく、置いたときに自然と整って見えるサイズを探索しました。
日本の建築によく使われている白銀比なども調べながら、生活の中で馴染みやすいバランスを検討しています。
こうした調整は些細な違いに見えますが、物を置いていつもの棚の上に置いてみると、そのわずかな違いで風景が変わります。
SCAPEだけが目立つのではなく、そこに置かれるものもきれいに見えること、どんな場所でも自分の持ち物に合わせて使えることなど、
暮らしの中に置いたときの姿を想像しながら、形と大きさを整えていきました。
LIVING SCENES